先日、衛生士さんや衛生士学校の学生さんと話をしていたところ、「歯間ブラシやフロスは、普通の歯ブラシの前と後のどちらにやるのか?」という話題になりました。
僕は、学生のころに歯間ブラシからやると習った記憶があるのですが、正直うろ覚えで自信がありません。
知り合いの先生に聞いてみても、皆答えはばらばらな感じ。
歯周病学などの教科書を見てみると、補助的清掃用具の存在は明記してあるものの、順番までは書いておりません。
次に歯科清掃用具の販売業者のホームページを見てみました。歯科用具を販売しているサンスター (http://jp.sunstar.com) のQ&Aページには、フロスはいつ使ったらいいのかという質問に、「歯磨きした後に使用してください」と書いてあります。一方、歯ブラシなどをメインに販売しているOKAMURAのHP (https://okamuragroup.co.jp) には、「歯磨き前に歯間ブラシを行うこと」が推奨されています。
うーん、なにが正解なんでしょうか。
そこで論文検索をしてみると、なんとフロスの順番についての研究が2つほど見つかりました (Torkzaban P et al. 2015), (Mazhari F et al. 2018)。
結論からいうと、これら二つの論文では、フロスを先におこない、その後に通常の歯ブラシをするという方法を推奨しております。
特に2番目のRCT研究では、歯磨き前のフロスは歯ブラシ後にフロスをした場合と比較して、統計学的に有意に歯間部プラークの減少とフッ素の残存を認めました。

要するに、歯磨き前にフロスをすることで、より歯と歯の間の汚れを取ることができ、そこへフッ素をとどまらせることができるという結果が得られました。
この研究では対象が歯学部の学生であることなど、条件が限定されてはいます(歯と歯の隙間が開いている人は違うかも)が、順番に迷ったらフロスを先にやったほうが良いかもしれませんね!
それにしても、”歯磨きの順番”というニッチな題材でさえ研究されていることに感心しました笑
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(管理者) 鈴木瑛一 歯科鈴木医院 副院長 歯周病学会専門医