妊娠中や産後すぐの歯科治療や口腔ケアの注意点について

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妊娠は女性の身体に多くの変化をもたらしますが、それは口腔内も例外ではありません。今回は、妊娠中の口腔内の状態について、また歯科治療における注意点などをお話しいたします。

妊娠中に見られやすい歯や口の問題とその対策について

妊娠期間中に見られる一般的な歯や口の問題は以下の通りです:

– 歯肉に腫れや出血がある

– 冷たいものや熱いものがしみる

– 歯や歯肉に痛みがある

– 唾液が粘っこい感じがする

– 気分が悪く、歯磨きができない

– 食事回数が増えて、歯垢が溜まりやすく感じる

これらの問題は、妊娠による女性ホルモンの増加や、つわり、食事回数の増加などにより引き起こされます。

エストロゲンなどといった女性ホルモンを栄養とする特定の歯周病原性細菌が増殖しやすくなったり、唾液の粘性が高まって口腔の自浄性が低下し、歯肉の炎症や出血が起こりやすくなることが考えられます。そのほか妊娠中に増加するプロゲステロンといったホルモンが、炎症元のサイトカインを増加させることが報告されております。実際に妊婦の 32% に歯周病が認められたという我が国の調査もあります (値賀さくら他 2015)。

対策として、妊娠中は口腔ケアを一層重視し、食生活にも注意が必要です。食事や間食の回数が増えるため、食後の歯みがきやうがいをこまめに行うことが推奨されます。

「つわり」の時には、できるだけ気分のよい時に歯みがきを行い、みがけない時はぶくぶくうがいをしましょう。食嗜好も変わりやすいので、糖分の多い飲食物や酸性食品をだらだら食べることは控えましょう。

妊娠中の歯周病による悪影響

妊娠中に歯周病が起きた場合、どのような悪影響が考えられるのでしょうか。

いくつかの研究論文によると、妊娠している女性が歯周病に罹患した場合、低体重児及び早産のリスクが高くなることが指摘されています。

歯周病による早期低体重児出産の危険性は約7.9倍高くなるといった報告もあり (Offenbacher S et al. 1996)、歯周病予防の重要性が分かります。

う歯については早産の有意なリスクファクターとはいえないという報告もあるが、いずれにせよ妊娠中は良好な口腔内環境を保つ必要があり、産婦人科学会の指針でも強く推奨されています。

授乳中の口腔ケアでの注意点は?

産まれたばかりの赤ちゃんは、口腔内には悪い細菌はおらず、無菌状態です。基本的には一般生活や口移しなどをすることにより、母体の口腔内細菌が伝播し、場合によっては定着してしまいます。そのため、母親自身の口腔ケアが重要となります。母親が口腔内のむし歯菌をコントロールすることで、赤ちゃんへの菌の移行を遅らせることが可能です。また、母親が適切な口腔ケアを行うことで、子どもへのむし歯予防の模範となります。

残念ながらお母さんの口腔内の状態が悪い場合、その子供の口腔内環境も悪くなってしまうのは、実際の臨床兼としても実感することです。一方で、お母さんが頻繁に定期検診にきていたり、口腔内ケアをしっかりされている場合は、子供の口の中にも全く虫歯がないことは多くあります。

妊娠ー出産直後の期間までの歯科受診で気をつけること

妊娠中の口腔内状態の改善がとても重要であることは分かっていただけたかと思います。

そのため、妊娠中の歯科検診はとても重要です。歯石をとることや歯磨き方法を確認するだけでも歯周病予防につながりますし、痛みがでるまえに小さな虫歯を見つけることができるかもしれません。

一方で、つわりがひどい場合は口腔内を触られるのは苦痛だと思います。また、麻酔やエックス線の使用は胎児への影響はほとんど影響はないとされていますが、緊急の場合を除き、妊娠中期の安定している時期に行った方がよいでしょう。当院でもエックス線の使用はできるだけ避けており、麻酔を使用した治療は安定期にまとめて行う様にしております。薬剤に関しても胎児に影響のない薬剤を選択する必要があります。

その他妊娠中における口腔関連の注意点

赤ちゃんの歯の発育は、お母さんの胎内にいるころから始まります。妊娠期から始まります。歯のもとになる芽(歯胚)が形成されるのは妊娠7~10週頃で、これがカルシウムやリンなどの栄養素を吸収して硬い組織になり、歯の形を作り出します。そのため、妊娠期の母親の栄養状態は赤ちゃんの歯の発育に大きな影響を与えます。良質のタンパク質やビタミンD、E、A、Cなど、多様な栄養素をバランスよく摂取することが推奨されています。(参照:日本歯科医師会HP)

まとめ

昔は「一子を得ると一歯を失う」といわれていました。今でも「妊娠すると歯周病になりやすい」とか「出産すると歯が悪くなる」という話を聞きます。確かに、妊娠によってむし歯や歯周病のリスクは高くなりますが、適切な口腔ケアによって予防することも可能です。妊娠中や出産はお母さんにとってものすごい負担がかかります。大変だとは思いますが、自分自身、そしてかわいいお子さんのために、口腔内により一層の関心をはらってください。

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(管理者) 鈴木瑛一 歯科鈴木医院 副院長 日本歯周病学会専門医

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