キシリトールと虫歯の関係

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皆さんは日常的にガムを食べていますか?

先日、日本で初めてのキシリトール配合ガムであるキシリッシュが販売中止になりましたね。他にも多くのキシリトール配合製品は売っており、食べたことがある方は多いかもしれません。

たまに患者さんよりキシリトールの効果について聞かれることがあります。そこで今回は、キシリトールによる虫歯予防効果についてお話しします。

キシリトールは主に木材や野菜、果物から抽出される天然の甘味料ですが、厚生労働省のHPでも言われている様に、国内外での虫歯予防効果が実証されております。

キシリトールと虫歯の関係

キシリトールは、虫歯の主要な原因であるミュータンス菌の活動を抑制する能力を持つことが科学的に証明されています。この菌は、砂糖をエネルギー源とし、その過程で酸を生成します。この酸が歯のエナメル質を侵し、時間が経つにつれて虫歯を引き起こします。しかしながら、ミュータンス菌はキシリトールを利用できなく、結果として、口腔内の菌の活動が減少し、虫歯のリスクが低下するのです。

800人の子供を対象としたキシリトールを含むキャンディーが虫歯予防にどの程度効果的であるかを調査するための研究 (Söderling E et al. 2001) によると、キシリトールを含む製品の使用は虫歯の発生を有意に抑制したという結果を示しました。具体的にはキシリトールキャンディーの使用は、コントロールグループと比較して虫歯の発生を33%から59%減少させ、キシリトールガムの使用は、コントロールグループと比較して虫歯の発生を53.5%減少させました。

ただし、このメリットを十分に享受するためには、キシリトールの摂取量や頻度が重要となります。

むし歯予防のためには、キシリトールが50%以上配合されているガムまたはタブレット5~10gを毎食後に摂取し、これを継続するとよいといわれています。(厚生労働省ホームページ)これはおおよそキシリトールガムを1日に3-8個程度摂取することに相当します。アメリカ小児歯科学会 (AAPD) の見解においても、キシリトールのような非齲蝕性糖代替物の使用を指示しております。一方で、ミュータンス菌および小児の歯科齲蝕の有意な減少を示す一貫した証拠は不足しているとも述べています。また、キシリトールは人によっては消化器系に不調和を与える可能性もあるため、キシリトールの摂取は適度な量であることが重要です。

キシリトールの可能性

キシリトールの効果に関しては未だ研究が進んでいますが、虫歯予防だけでなく、口腔内全体の健康維持に大いに役立つ可能性を秘めています。例えば、一部の研究では、キシリトールが口腔内のバクテリアバランスを改善し、歯周病のリスクを減らす可能性があることが示唆されています。これらについても未だ研究段階で、今後の更なる研究が待たれます。

まとめ

まとめると、キシリトールの使用は我々の口腔内健康を保つのに有効な手段の1つになり得、特に虫歯予防においてその効果が科学的に認められています。ほかにもプロバイオティクスといった細菌叢の変化を促すものや、口腔内に良い効果をしめす様々な食べ物や手段が存在します。キシリトールの利用はその一部ですが、全体的な健康管理の中でバランスを保つことが大切です。

また、もちろんですがそれだけが全てではなく、適切な口腔ケアと定期的な歯科検診が必要です。キシリトールガムを噛みたいけど歯が悪いから食べられない・・ なんてことが内容に、しっかりと日々の歯ブラシと定期的な歯科受診を怠らない様にしましょうね!

虫歯治療について    →定期検診について

(管理者) 鈴木瑛一 歯科鈴木医院 副院長 日本歯周病学会専門医

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