最近コーヒーが健康に与える影響について良くニュースになっています。僕もコーヒーが好きでほぼ毎日飲んでいるので、その効果については気になるところではあります。
コーヒーによる「肝がん発生率の減少」や「糖尿病リスクの減少」など、コーヒーによる良い影響についてはご存じの方も多いと思います。では、歯周病に関してはいかがでしょうか。
一部のインターネットのサイトでは、コーヒーが歯周病予防になると書かれていましたが、エビデンス(根拠)元は特に記載されてませんでした。
世界の研究を検索してみると、コーヒーと歯周病との関係性について調査している研究はいくつか行われておりました。その中で、2016年に韓国で行われた研究 についてみてみましょう。(Han et al. PLOS ONE, 2016)
本研究は、29,235 人の韓国人を対照とした調査を元にコーヒーと歯周炎との関係性について検索しています(最終的な研究対象は30歳以上の16730人)。
コーヒーの摂取について、1ヶ月に1回以下、1ヶ月に1回以上1週間に3回以下、1週間に4-6回、1日1回、1日2回、1日3回以上、という6群にわけそれぞれ歯周炎の有病率について解析をおこなったところ、男性のみにおいて、コーヒーの摂取量と歯周炎の有病率に相関関係が認められました(コーヒーをよく飲む人ほど歯周病になっている人が多い)。
収入や学歴、飲酒、喫煙、運動、食事などの歯周病に与える因子について(交絡因子)補正をかけているとはいえ、歯周炎になるには多くの要素が絡んでくるため、一丸にコーヒーがだめとは言えないとは思いますが、今回の調査ではコーヒーを飲むと歯周炎になりやすいという驚きの結果となりました。
また、ディスカッションではコーヒーと歯周炎に関する過去の7つの論文があげられていますが、そのうちの3つはコーヒーは歯周病悪化と関係している、他の3つは歯周病予防になる、最後の1つは関係性がない。 となっている。。。 要するによく分かっていないのである笑
コーヒーといっても缶コーヒーや、砂糖やミルクをいれて飲んだりと、人によりそれぞれのコーヒーが存在するわけで、一丸に良い悪いは言えないのでしょう。
もっとも、やはり過去の研究では常にコーヒーに砂糖をいれているひとや、インスタントコーヒーを飲んでいる人は、歯周病の敵である糖尿病のリスクを高めるといわれており、コーヒーの良さを消してしまうのではと考察されていた(インスタントコーヒーには糖が入っていることが多いらしい)
また、コーヒーには様々な化学物質が含まれており、その中には抗炎症作用、抗腫瘍作用がある物も含まれている。一方でコーヒーに含まれているカフェインが一つのキーになっており、カフェインが骨吸収を促進し、骨の治癒を阻害するという過去の研究を引用している。
今回の論文では、最終結論として、歯周組織の健康のためにはコーヒーの摂取量を控えるべきと書いてあります。まあ、この論文自体が調査による横断研究であり、エビデンスレベルは少し低いのかなぁとは思います(思いたい)。
でも、毎日コーヒーは飲みたい。せめてブラックコーヒーを飲んだ方が良いのかも。でも、個人的にはミルク少し入れる方がおいしいんですよねぇ・・
ということで、コーヒーをやめられないかたはしっかり歯磨きをして、虫歯、歯周病予防につとめてくださいね!(ぐだぐだですみません)
(管理者) 鈴木瑛一 歯科鈴木医院 副院長 歯周病学会専門医