みなさんこんにちは。
紅葉の季節も終わり、だんだん雪の季節になってきましたね。
寒いと暖かい飲み物が美味しくなりますね。蜂蜜などを飲み物に入れる方も多いかもしれません。
さて、今回はその “はちみつ” についてのお話しです。
先日患者さんより、「はちみつを寝る前に食べて寝ると虫歯や歯周病予防になるというお話しを聞いたんですが、本当ですか?」との質問をされました。
はちみつに抗菌作用があることを知っている方はいらっしゃるかもしれませんが、はちみつが歯周病予防になるかどうかについては恥ずかしながら知りませんでしたので、今回調べてみました。
インターネットで “はちみつ 歯周病” と調べると、確かにいろいろヒットしてきます。 エビデンスがない記事が多いですが、中にはしっかり論文ベースで書かれているものもあります。いやー勉強になりますね。
自分でも論文検索してみました。
2008年の論文(日本の論文ですね!)では、はちみつとプロポリスが歯石の形成能に与える影響について調査しています (Hidaka et al. 2008)。
この論文によると、20種類のはちみつのうち12種類で、また4種類のプロポリスのうち3種類で歯石形成の元となるカルシウム形成の抑制効果を示しました。
これにより、歯磨き粉などにはちみつ成分を入れることにより、歯石抑制効果が期待できることが示唆されています。
また、2017年の論文では、マヌカハニー(マヌカの木から採取されたはちみつらいしです)が歯周病原細菌や虫歯原因細菌にどのような効果を及ぼすかを調査しています (Syarida H et al. 2017)。
はちみつ濃度を上げると、歯周病の原因菌として有名なP.gingivalisなどの細菌数が減ることが分かりました。
また、虫歯の原因菌として有名なミュータンス菌などに関しては、かなりの高濃度の場合でのみ細菌の増殖抑制効果が認められました。高濃度のはちみつは、同時に口腔内のpHを下げることも報告されています。
よって、この研究の結論としては、歯周病原細菌の抑制につながる可能性が有り、歯周病には有効かもしれないが、同時に口腔内のpHを下げてしまい、歯を構成している硬組織の脱灰(歯の表面を溶かす)の危険性があることが示唆されました。
これらの研究結果を考慮すると、現時点でははちみつを塗って寝るのはやめていただいたほうが良いかもしれませんね。
それにしてもはちみつとプロポリスの違いも今回初めて知りました。いろいろ調べると新しい知識が得られて世界が広がりますね。
(管理者) 鈴木瑛一 歯科鈴木医院 副院長 日本歯周病学会専門医