日本の歯科レベルは高い?低い? (海外学会参加報告)

こんにちは、歯科鈴木医院副院長の鈴木瑛一です。

先週1週間、ウィーン(オーストリア)で開催された歯周病学の国際大会「EuroPerio」に参加してまいりました。患者様には休診や診療時間変更等でご迷惑をおかけしました。この学術大会は、歯周病治療を専門とする世界中の先生方が参加・発表する3年に一度の世界最大級の学会です。

今回はロンドンで行われた第8回以来の参加となりましたが、改めて多くの刺激と学びを得ることができる、本当に素晴らしい大会でした。

 

世界中の歯科医師が集まるこの大会では、まさに“トップランナー”と呼ばれるような先生方による講演や最新の研究成果が次々と紹介されます。こうした場に身を置くことで、日々の臨床や研究に対する自分の姿勢を見つめ直すと同時に、日本の歯科医療についてもあらためて考える機会となりました。また、日本人歯科医師も20名ほど参加しておりました(もう少し多いかも)。日本の歯科界では超有名な先生たちとディスカッションができ、とても楽しい時間が過ごせました。

 

 

 

ウィーンでの発表
世界中から歯周病専門医が集まり、オリンピックのようです。数万人の歯科医師・歯科衛生士が集まります。
世界的に有名な歯周病専門医であるDr. Rasperiniiと。臨床論文をいくつか共同で報告しております。久しぶりの再会で臨床内容を評価していただきました。

さて、今回は、よく聞かれる「日本の歯科レベルって世界的に見てどうなんですか?」という質問について、少しお話ししてみたいと思います。。

日本の歯科レベルは…“決して低くない”

結論から言えば、日本の歯科医療レベルは世界的に見ても非常に高いと感じています。特に、日本の歯科医師は、保険診療を含む多くの治療分野において、幅広くかつ一定以上の質で治療が行える点が大きな強みです。

正直日本人は海外の先生と比べても器用であり、さらに性格的な物もありますが、地道で細かい作業に向いているのだとおもいます(まさに日本の伝統芸など)。

 

海外、特に欧米では「分業」が進んでおり、例えば歯周病の専門医、根管治療の専門医、補綴の専門医など、非常に特化したスペシャリストが多く存在します。それ自体は非常に合理的で専門性も高いのですが、日本の歯科医師のように一人の歯科医師が総合的に診るというスタイルは、実は国際的に見ると珍しく、そして非常に価値のあることだと感じています。

 

技術は高い。でも制限もある

ただし、日本の保険制度には“両刃の剣”のような一面もあります。
誰もが一定の治療を手頃な費用で受けられるのは素晴らしいことですが、その一方で、技術的に可能なことが、制度上できないといった場面にも直面することがあります。

たとえば、最新の材料や術式を用いた治療は、保険適用外となることが多く、患者さんに選択していただく際には費用の面でのご説明も必要になります。ここには制度としてのジレンマもあるかもしれません。

当院でも、保険治療を有効的に使っていただきたいと思っており、さらに治療のレベルを求められる方には自費治療の提案も行っております。

 

海外の患者さんは“積極的”

もうひとつ感じたのは、海外の患者さんの“意識の高さ”です。

治療費が高額な分、「自分の歯を守ること」への関心やモチベーションが非常に高く、治療の選択や定期的なメンテナンスにも前向きな方が多い印象を受けました。

日本でも近年は、「予防」に対する関心が高まってきており、とても良い流れだと思います。日本はメインテナンスなども保険でできる素晴らしい医療制度を持っております。ぜひこのような制度を大いに利用してもらい、口の中の環境を長期的に維持していきましょう。

患者さんの理解と納得を大切にしながら、一緒に歯の健康を守っていきたいと改めて感じました。

国際学会で感じたことをきっかけに、あらためて日本の歯科医療の素晴らしさ、そしてその可能性を再確認できました。
今後も、世界の最新知見を取り入れながら、地域の皆さんに安心して通っていただける歯科医療を提供してまいります。

 

国内の歯周病学会で会議ならびに発表のため、明後日から数日間出張で不在となります。。患者様には再度ご迷惑をおかけしましますが、よろしくお願いいたします。

 

(管理者) 鈴木瑛一 歯科鈴木医院 副院長 日本歯周病学会専門医

 

 

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