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長寿国家の日本。しかし歯に関しては・・・

現在日本は世界でも有数の長寿国家となっており、男女合わせての平均寿命では堂々の世界一位となっております(参照:2015年の世界平均寿命ランキング, 2016 WHO)。しかし、日本人は必ずしも健康寿命という点では優等生とは言えないのです。

平均残存歯数(残っている歯の数)について、海外の国と比べてみましょう。(参照: Hugoson A and Koch G, Swed Dent J 2008, H23歯科疾患実態調査 厚労省)

驚くことに、日本は海外の国と比較すると歯を5本近く多く失っていることが分かります。別の調査(サンスター調べ)においても、80歳の日本人の平均残存歯数の6.8本と比較し、アメリカの85歳15.8本、スウェーデンの75歳19.5本と、海外の人たちはより多くの歯を残せていることが分かります。

世界有数のきれい好きであると言われている日本人がなぜここまで歯を失っているのでしょう。日本人は他国の人より歯が弱いのでしょうか?そんなことはありません。実は、海外では日本とは歯科医院への”かかりかた”が違うのです。

予防先進国とは?

フィンランド、スウェーデン、アメリカなどは予防先進国といわれております。

日本で一般的に歯科にかかる場合、痛みがでたり詰め物がかけたりというのが、来院の主な理由だと思います。しかしながら、海外の予防先進国の人々はその大半が「予防」のために歯科医院に通院しています。少し前のデータ(H17)ですが、各国の定期検診・クリーニングに通っている人の割合と残存歯数を比較してみましょう。

定期検診(定期クリーニング)に通っているの人の割合において、日本と海外との差に驚かれたかと思います。最近の調査では、日本の残存歯数もどんどん上がってきており、さすがに定期検診率も少しずつ上がってきていると思います(と信じております)。しかしながら、これらの定期検診の差がそのまま残存歯数の差として現れているのです。

定期検診をおこなうと、歯を多く残せることがわかりました。では定期的な検診・クリーニングを行うことにより、どのようなメリットがあるのでしょうか。

1.歯周病への予防になる

歯周病治療の項目でも述べている様に、成人が歯を失う原因の4割は歯周病です。その歯周病の原因であるプラーク・歯石を定期的に除去できるということが、定期クリーニングの最大のメリットであると言えます。

どれだけきれいに磨けたとしても、必ず磨き残す場所が出てきます。また1度歯磨きの方法を習っていたとしても、正しい磨き方をずっと覚えているとは限りません。磨き残した場所は歯石が強固に付着し、細菌の温床となります。定期的なクリーニングを行うことで、歯ブラシの届かない部位をしっかりと清潔にすることができます。また、磨き残しの場所を理解することができ、歯ブラシの精度もあがります。歯周病により1度なくなった骨は、基本的には2度と元に戻ることはありません。歯周病は痛みが出づらく、悪化しても患者さん自身で気づくことが難しい病気です。

定期検診により、歯周ポケットの発生や進行にいち早く気づくことができます。定期検診では、歯周ポケットの悪化がないか、汚れがたまりやすいような不適合な詰め物・被せ物がないかなどのチェックなどを行います。3-6ヶ月の定期検診により、歯周治療後5年間悪化は見られなかったという報告があります(Lindhe J et al. 1975)。一方で定期検診を行わなかった場合、2年後には歯周ポケットの再発がおきたとの報告もあります(Nyman S et al. 1977)。

ちなみに、定期検診は1年に3~4回が理想とされています。これは、歯周病原菌は、1度清掃したとしても3ヶ月でもとの細菌叢にもどってしまうという研究に基づいています。

2.初期段階で虫歯や治療後の異常を発見できる

抜歯の原因第2位は虫歯です(32%)。虫歯は悪化すると痛みがでてきますが、虫歯が大きければ大きいほど歯を削る量が多くなり、痛みの出やすい処置も多くなります。おのずと処置にも回数や時間がかかります。定期的にチェックを受けることにより、虫歯をなるべく小さな状態で発見し、より少ない範囲で処置を終わらせることができます。また虫歯治療が終わった歯でも、詰め物の被せ物の経時的な劣化がおきたり、隙間がでてきて再発します。早めに詰め物や被せ物の異常を発見することにより、悪化する前に被せ治しや詰め直しをすることができます。治療が小さい範囲で終われば、将来的にかかる歯科治療費を格段に削減することができます。

3.見た目もきれいに保てる

定期検診では、歯周病や虫歯のチェック、歯石取りはもちろんですが、希望に応じてクリーニングも行えます。歯の着色を落とすことにより、本来の歯の輝きを取り戻すことができます。また、お口の中を清潔にすることにより気分がすっきりします。3000人以上を対象とした過去の研究では、年間の検診・クリーニング受診回数が多いほど、「生活の質」の指標となる口腔関連QOL(GOHAI)スコアが上昇するという結果が出ています(Naito T. 2006)。

(福岡歯科大学 内藤先生の研究(2006)を一部改変) 3238人

4.かかりつけ歯科医の安心感がある

口の中に何らかの不具合がでてきました。しばらく歯医者さんに行っていないと、歯科受診をする時に少し勇気がいりませんか。世間一般の歯科のイメージとして「怖い」「痛い」「時間(期間)がかかる」などが多くあるとおもいます。定期的に通院することにより、治療範囲を極力少なくすることができ、歯科のイメージを「安心」「痛くない」「短時間で終わる」に変えることができます。そして、何か口の中にトラブルがあった時には、すぐにかかりつけ歯科医に相談できるという安心感がうまれます。

また定期的に通院されることは、治療する我々側にとってもメリットとなります。定期的に通われている場合、口の中の変化を経時的に追っていくことができます。治療の経過や口の中の環境の変化というのは治療の判断にとても役立つのです。全身的な病気になった場合のお薬の服用や、体調の変化なども一緒に見ていくことができるため、年齢や患者背景を考慮し、最善の治療をすることができます。

その他、定期検診によって歯を残すと様々なメリットが!

 ・歯があると認知症になりにくい?

 ・歯科だけでなく、全身疾患に対する医療費も抑えられる。

定期検診・予防歯科の重要性がわかったでしょうか。日本では、この予防歯科に関する意識がとても低いことが、問題となっております。それは、国民の意識だけでなく、国自体の取組みも低いと言えます。

今では予防先進国といわれているスウェーデンも、かつては日本と同様に多くの人が虫歯や歯周病で多くの歯が失われていました。スウェーデン政府はその事実を重く受け止め、1970年代に「予防歯科」を国家プロジェクトとしてスタートさせました。それにより、1973年には70歳の残存歯数13.3歯でしたが、30年後の2003年には20.3本もの歯を残すことに成功したのです (Hugoson A and Koch G, Swed Dent J 2008)。

スウェーデンの歯科保険制度は素晴らしいものです(なんと19歳まで矯正治療を含めた治療が全て無料!)しかし、日本も他の国と比較しても保険のカバーがかなり良い国です。それにしては、この日本人の定期検診率はさすがに低すぎるとおもいませんか?(ある意味治療費がやすいから歯周病や虫歯になることに抵抗がないのかもしれませんが)。アメリカ、スウェーデンでは、成人前の子供の時から、自主的に歯科医院に予防のために通院しています。何かあったら歯科医院に行くわけではなく、なにかならないように通院をし、健康寿命を増やしていきましょう。すでに歯が少ない方も、定期的に通うのに遅いと言うことはありません。入れ歯や噛み合わせのチェックなどによりしっかりと噛むことによって、認知症などの発症リスクはぐっと抑えることができます。

本院では、50年以上前に本地に開業して以降、長年地域医療に携わってきました。歯科治療は生まれてから亡くなるまで一生を共にするものです。皆さんもこれからしっかりと定期検診・予防歯科をおこなっていき、より長くご自身の歯を残し、健康寿命を延ばしてみてはいかがでしょうか。

ご予約はこちらから(お電話で定期検診希望とおっしゃってください)

板橋区桜川(上板橋駅)の歯科鈴木医院

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